社会人が介護士に転職するコツ「まずは状況を把握する」

介護士の求人状況

要介護者の数はさらに増すばかり

今後も介護を必要とする「要介護者」は増え続けていくと言われています。社会保障審議会では、介護を必要とするのは75歳以上に多く、その75歳以上の人口が2055年には25%を占めると予測しています。要介護者の数が増えればそれだけ介護をする人の数も必要になるため、介護士のニーズはますます高まっていくことでしょう。
しかし、その一方で日本の人口は減少の一途をたどっています。内閣府のデータでは、日本の人口は現在1億2,000万人を超えていますが、2048年には1億人を割り込み、2060年には8,674万人に減少すると試算されています。このままでは介護士の人手不足がさらに深刻になることが目に見えています。

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介護ロボットは人の代わりにはならない

人手不足問題の解決策として介護ロボットに注目が集まっています。専門性の低い業務を介護ロボットに任せることで介護士の業務の負担を軽くしようという狙いがありますが、残念ながら現在の介護ロボットは人間の代わりに介護をするレベルまで達していません。介護士のサポート的な役割しかできていないのです。
ロボットと言えば一般家庭ですでに普及しているようなお掃除ロボットを思い浮かべる人も多いことでしょう。ですが、お掃除ロボットはあくまで掃除の作業の一部をカバーするだけです。介護士が要介護者の暮らしやすさを考えながら生活の基盤を整えたり、部屋の乱雑さから心身の状態を把握したり、といった「介護」の部分を担うことはできません。
介護士が行う掃除はただの作業ではなく、高齢者の状態や症状を把握するために必要な専門業務なのです。介護ロボットが人の代わりに介護を行うためには、このような介護の奥深さにどれだけ介護ロボットが対応できるかがポイントになります。

将来性

高齢化が急速に進んでいる今、介護士の需要が高まっています。異業種から転職してくる人も多く人手が増えつつありますが、未経験者が多いため経験者の負担は増すばかりです。また、人間関係や待遇などの問題もあり、人手が増える一方で離職者の数も多いのが問題となっています。離職率を下げるために施設独自のキャリアパス制度を採り入れ、職員の定借率を上げようと工夫しているところもあります。キャリアパス制度は施設によって多少の違いはありますが、多くの施設で行っているのが、介護の知識や技術を評価するために独自の試験制度を導入して段階に応じて昇給するシステムで収入面の安定を図ったり、内外の研修を充実させたり、メンタル面での個別ケアを定期的に行ったり、などです。
また、国を挙げて介護士の職場環境や待遇を改善しようと動いています。不十分なところもありますが、見直す動きは継続しているため、介護士の未来は考えているほど暗いものではないでしょう。